ひろしゃま

想いはめぐる 土・マルシェ・食卓

ひろしゃまvol.9-1

想いはめぐる 土・マルシェ・食卓

お話をしていただいたのは

  • おのみち家族の台所

楽しい・おいしい・心地よい・笑顔あるマーケットへ―おのみち家族の台所―

 「まず1年、また1年と積み重ねるように開催してきました。続けていく原動力となったのは、何度も立ち返る軸となる想いと、周りの方の応援でした。」
おのみち家族の台所は、ボランティアによって運営されています。テントも機材も少しずつ集めた手作りのマルシェです。
取材当日は約40店舗が出店していました。主催者代表の西山さんは、開店まえからパタパタと忙しそうに走り回り、電気系統のトラブル対応にあたっていました。
マルシェを始めた当初と今では、何か変化はありましたか?「作物を育てるには、先ずは土からです。どうあれば、環境にも人にも優しくあれるのか、ということを一緒に考え、育っていくマーケットになってきているように思います。最初は安全安心にこだわり、こうでなければならぬという気持ちが運営側に強く、かなり固いマーケットだったように思います。回数を重ねるごとに間口が広がり、お互いに価値観を受け入れ、理解を深め、今の形になっています。この場所は愛で繋がっているんです。」と6年間の月日を経て、マルシェという場所が人と人との交流を生み、新しい発見がある場所へと成長したようです。手渡す人の事を思い、心を込めて作られた品々が並び、作った人や環境を思い感謝していただく、そんな食卓へ繋がる場所でした。実際、家族の台所のfacebookページには、出店者の野菜やパンを使った日々の献立が紹介されています。

現場訪問 まずは足元から

 数ある出店農家さんの中でもベテランと言われる『れもんだにのうえん』永井さんご夫妻を訪問しました。
「元々先代が無農薬栽培をしていましたが、自分の代で無農薬有機栽培を経て、無農薬・無肥料の自然農法にしました。その土地にはその土地に合った菌がいるんだよ。」
土地に住むミミズやバクテリアが肥料代わり、太陽と自然の恵みと、永井さんの手によって、少し無骨な愛らしいレモンが実っています。
「私らからしたら不格好なレモンだよ。無農薬だから虫もつく、そこが傷になってしまうんです。葉っぱについた虫を落としたり、アブラムシを食べてくれたりするてんとう虫が、蜘蛛の巣にかからないようにしています。」と、その場でいつものように葉っぱの虫を取り、蜘蛛の巣を払って見せてくれました。安心安全の裏には、聞いてみないと知り得ない作物への思いがありました。
自宅近くでコツコツと路地販売のみでファンを増やしていた永井さん。「やっぱりお客さんの顔を見て売りたいしね。」という思いの延長で、家族の台所への出店を始めました。出店は、新たなファンとの出会いの他にも素敵なことがありました。
マルシェ内で知り合った農園やお店を休日に訪ね、現場以外でも交流が深まっているようです。

新しい芽

 東広島市でも昨年新しくマルシェが始まりました。主催は本誌vol.6でもご登場いただいた、広島大学4年生の山田芳(よし)雅(まさ)さんを中心とする団体『東広島ひとむすび』(詳しくはFacebookページをご確認ください)です。新しくマルシェを開催するにあたり、西山さんを訪ねていました。「ピクニックをするように、お店もお客さんもゆったりと、自由な時を過ごす空間。地域が、農家さんのファンになってもらえる場を作りたい。家族の台所の愛のある空間は理想です。」と描いている夢を教えてもらいました。
 永井さんとの別れ際、これから新しく開催されるマルシェや、出店してみたいと思っている方にアドバイスをいただきました。
「マルシェはね、見せ方が大切で、ただお店を並べるんじゃなくて、面をたくさん作って、どの角度でも店があるようにするんですって。それを考えて指導してくれる人がいたり、娘がおいしそうに見える並べ方を教えてくれたりするんですよ」と謙遜されながら。
なるほど、それも訪れる人と作物と、マルシェという場所に対する愛あればこそですね。

想いはめぐる 土・マルシェ・食卓
  • 想いはめぐる 土・マルシェ・食卓
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取材したのは

  • 小島朋子(音楽と風景実行委員長)
  • 広川藍子(洋服修繕)
  • 吉宗五十鈴(世羅高原カメラ女子実行委員会委員長)
  • 妹尾奏子(広島ノルディックウォーカー)