古民家を再生して地域の拠点に『川上BASE』のはじまり
桑田さんはときに近隣の人たちと一緒にイベントで汗を流したり、地元の行事には準備段階から積極的に参加したり、遠方で塾に通えない地元中高生の学習をサポートしたりと東奔西走の日々を送っている。
そうした中で中山間地域において“空き家が問題になっている”ことを身近に、そして深刻に感じ始めた矢先、ある物件をコミュニティの人から紹介された。
築60年を超え、数年前まで老婦人が一人で暮らしていた古民家である。屋根は一部崩れ、畳もボロボロ。床下の基礎部分も補強をしなければならない。
「けれども…」と桑田さんは考える。
もしもこの場所(古民家)が、この地域とここに訪れる人たちとの交流の場、拠点(BASE)になれば、きっとたくさんの人に玖島の里山の美しさや、住民の暮らしの様子を知ってもらうことができる。」
玖島の営みを象徴するような昔ながらの家屋、薪で沸かすお風呂、囲炉裏がある部屋が懐かしさや温かみを醸し出している。奥の納屋からは立派な石臼が見つかった。
「そうだ、ピザ釡も作ろう。庭でみんなでピザを焼いて、夏には家のすぐ横の水路でスイカを冷やして食べる…。」
そんなことを思い描き、古民家に『川上BASE』と名付けた。