ひろしゃま

日本のお茶をクリエイティブに、グローカルに。

ひろしゃまVol.13-1

日本のお茶をクリエイティブに、グローカルに。

お話をしていただいたのは

アイデンティティのゆらぎ、 「茶」との出会い

実家がお茶農家でもお茶屋でもない高橋さんをお茶の世界へと導いたのは、大学時代に海外を旅する中で出会った一冊の「茶」の本だった。この本は「茶」のことだけでなく、日本の文化や日本人としてのアイデンティティが綴られていた。これが、留学や海外での生活を重ねる中で、自分が何者であるかとアイデンティティに対して葛藤していた高橋さんと激しく共鳴したのだった。同時にお茶への興味が確かなものとなる。お茶を知ることで、世界に引けをとらない、日本人としての自分のアイデンティティが確立されていくように感じられたのだ。高橋さんが探していたものがお茶の世界にあったのだ。

お茶づくりへのこだわり

大学卒業後、お茶の流通販売や栽培生産について実際の店舗や工場を渡り歩きながらゼロから学んだ高橋さん。そのお茶はすっきりとしていて美味しい。しかし、ただ美味しいだけではない。同じ茶葉で何度煎じても美味しいのだ。高橋さん自慢の急須に入れられたお茶は、お湯を足すたびに不思議としっかりと味が出ている。その秘密は、高橋さんこだわりの栽培方法にある。
通常、栽培には農薬や肥料を使う。病気や虫の標的になると、見た目が悪くなり、収穫量が減ってしまうためだ。しかし、高橋さんの場合はあえて農薬や肥料を使わない。それらを使って成長させたお茶の葉は、見た目の葉っぱは育っていても、中の繊維が詰まっておらず葉の細胞壁が薄い。このため、1回で成分が出切ってしまい、味が落ちるそうだ。それに対し、肥料を与えないお茶は、見た目が良いとは言い切れないが、味がしっかりし、何度お湯を足してもしっかり味が出る。
「この方がお茶本来の味が出るんです。昔の人が飲んでいたお茶本来の美味しさを味わってもらいたいです。」
「採りすぎると翌年いい芽が出ない。だから自然のサイクルに従って育てているんです。また、うまみを追求するあまり、肥料を使って人工的にお茶の味を作っています。ただ売れるだけのお茶でいいのか? という疑問があった。」
高橋さんはお茶の栽培に強いこだわりを持っているように思えるが、実はお茶の味に対してとても素直なのだ。お茶本来の味を出したい。ただそれだけなのかもしれない。本物の味を求める人が高橋さんのお茶を求めている。県外からも引き合いがあるそうだ。

お茶の総合プロデュースへ

「そもそも消費者の趣向が変わればお茶の栽培方法は変わる。だから栽培だけでなく、消費者の声が直接聞ける販売までやる。それが自分たちのお茶づくり。もちろん大量生産を否定するわけではなく、色々なお茶の作り方がある。ただ、自分たちのやり方も一つのやり方。」
栽培だけでは最終消費者の顔を見ることや声を直接聞くことができない。消費者の声を聞かなければお茶の栽培に活かせない。流通にも高橋さんの思いが表れている。
「本来のお茶の魅力を伝えたい。そのためには、お茶について1から10までやる。それでお茶について分かったと言える。お茶、水、急須、湯呑、空間など、お茶に関わること全てを提案し、お茶の魅力を発信していきたい。」
国内だけでなく海外での情報発信も積極的だ。直近では、シンガポールでお茶の魅力を発信する予定だ。高橋さんにとっては、お茶の魅力を伝えることは
自己表現であるのかもしれない。そしてそれは、日本の魅力を伝えることにつながる。
日本だけでなく世界の人がお茶を愉しみ和む。集まってお茶を飲めば、そこに地域や文化、国境もない場が生まれるのかもしれない。お茶を飲みながら色々な話がしたいと語る高橋さんのチャレンジが始まっている。

日本のお茶をクリエイティブに、グローカルに。
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取材したのは

  • 松川英生(チームはつかいち)