ひろしゃま

「自分の心のど真ん中」にこだわり続ける

ひろしゃまVol.14-2

お話をしていただいたのは

サッカーで培った、地域を創る力

サッカーを愛する佐藤さんは、大学時代にイングランドに留学し、ロンドンのプロサッカークラブでインターンシップを経験する。イングランドには、世界各国のスター選手が集まるプロリーグがある一方で、ロンドン市内にはコート100面(!)を擁するサッカー公園があるなど、サッカーの裾野はとても広く、市民の生活の中に溶けこんでいる。
佐藤さんは、サッカーが生活に根付いたこの国で、サッカーをツールにした教育やまちづくりに関わるという貴重な経験を積んだ。そして、その経験を活かし、大学卒業後は福島県にあるプロサッカーチームで、スポーツを通じたまちづくりに関わっていった。

自分の暮らしをおもしろく

福島に住んでいた佐藤さんは、平成23年の東日本大震災の発生後、広島市中区吉島に移住した。震災を通じて、電気・ガス・水道などのライフラインを失ったことで人間の弱さを痛感し、自分の手で食べ物とエネルギーを作る必要があると考えるようになった。そして、田舎への移住を決め、活動の拠点を広島市佐伯区湯来町・上多田(かみただ)集落に移した。
上多田集落は、少子高齢化・増える耕作放棄地・荒れる山林など、挙げればきりがないくらい課題を多く抱える地域であった。佐藤さんの移住は、地域おこしを第一に考えたものではなかったが、結果として、集落に大きな変化をもたらした。それは、例えば、15年ぶりに地域に響く子どもの声であり、約半世紀ぶりに地域で開催された結婚式であった。まさに、「住むこと=地域活性化」であった。
そんな佐藤さんにとって、「地域のため」よりも、「自分の暮らしをおもしろく」を大事にするのは自然なことなのだ。地域での暮らしを面白くしようと思えば、必ず地域の課題と向き合うことになり、その課題を解決していけば当然地域は変わる。そして結果として、地域を豊かにすることへとつながっていくのである。

「自分のど真ん中」を大切に

佐藤さんにとって、ご自身の役割は「田舎と都会、田舎と世界をつなぐ」ことだと言う。
それを象徴する取組として、佐藤さんは自分の結婚式を、東京の友人たちに林業体験や田舎暮らしを体験させ、上多田集落の良さを体感してもらう1泊2日のツアーに仕立ててしまった。田舎と都会をつなぐため、宿泊先を地域の方の家にしたり、披露宴での座席配置も参加者同士の交流が生まれるように仕込むなど、至る所に工夫を凝らした手作りの式を創り上げたのだ。
また、今後の活動については、「中山間地域が少しでも世界平和につながるための冒険をしたい」と抱負を熱く語ってくれた。
広島は世界有数の平和都市であり、海外からの旅行客も多い。また、中山間地域は、人間関係や自然と共存した生き方など平和を体現する上で欠かせないものが実践され、広島市内からも近く理想的な場所なのだという。大学時代に国際関係を専攻し、平和について真剣に考え続けきた佐藤さんらしい野望とも言える。実際に、WWOOF制度を活用して2年間で70人近い外国人を自宅に受け入れており、手応えはあるそうだ。
常に「自分のど真ん中」を佐藤さんは大切にする。それは、他人任せにせず、人生で成し遂げたいことに愚直に取り組んでいくことだ。そうすることで、先行きが見えない不安定な生活になるかもしれないが、後悔はない。そういったブレない姿勢が、佐藤さんを次のチャレンジへと突き動かしていく。

「自分の心のど真ん中」にこだわり続ける
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取材したのは

  • 十河 雄貴(大学生)