ひろしゃま

自分と真摯に向き合う中で育まれた「揺るぎない芯」

ひろしゃまVol.15

お話をしていただいたのは

思いと現実のバランスをとる柔軟性

 2018年3月で、安芸高田市の地域おこし協力隊を卒業された南澤さんは、企画力や実行力もあり、人脈も豊富。そんな南澤さんの拠点が、自宅母屋と立ち並ぶカフェ&ギャラリーiegoto(イエゴト)。こんな正直なお店の紹介がとても魅力的です。

「提供するモノは、
*なるべくカラダにいいもの(と私共が思っているモノ)
*なるべく近くで採れたもの(あるいは顔のみえる仕入先)
*なるべく手間暇かけたもの
を取扱いたいと思ってます。…が、体力と採算性と効率と…どのあたりで折り合いがつくのか、やりながらバランスをとっていきたいと思っております。変化・進化を一緒に楽しんで頂けますと幸いでございます。」

 理想は高く掲げながらも、そこにとらわれず、実践の中で現実と上手く折り合いをつけていく柔軟性を持ち合わせた人なのです。

人へ逢いに出かけること

福井:私は、自分の活動をより良くするためにも地域から外に出て、会いたい人に話を聞きにいくことを大切にしています。南澤さんは、どのようにお考えですか?
南澤:人に逢うことによって、良い意味で「他人は他人。自分は自分。」とお互いの違いを知り、認め合い、多様性を実感できる。そして、そこから広がる見方や世界があることを知ることができる。本当にいい機会だと思う。
 それと、人と話すことで自分の頭の中を整理できたり、新しい気付きに出逢えたりすることもあるよね。他の地域や人と関わるからこそ、違った視点で自分の地域を見れるのかもしれない。

自信を持つには?

福井:昔は直感的に「このアイディアいいな!」と思ったらすぐに誰かに伝えたりしたんですけど、今は、「否定されないかな、大丈夫かな…」といった方向に意識が働いてしまい自信が持てなくなることも多いんです。
南澤:万人に好かれる企画を生み出すことは、とても難しいかもしれない。だからと言って、無難なことをするより、誰か一人が「いいね、面白いね」と共感してくれればそれでいい。そんな気持ちでやっていけばいいんじゃないかな。

原動力

福井:南澤さんが日々大切にされていることや原動力などを教えていただけますか?
南澤:これに関しては順を追って3つポイントをお話ししますね。
1 心に嘘はないこと
自分に正直に。時間が経ってその時の気持ちから変わってしまってもOK。むしろ、「一生かけてやりたいことなのか?」といったフィルターにかけると、自分の心がわからなくなってしまうことがよくある。そこで思考停止や行動停止になってしまうよりは、その瞬間、自分の想いに誠実でいればいいと思う。
2 決めること
目標にしろ、期限にしろ、「決めること」はとても大事なこと。でも、本当に大変なことでもある。なのでいつも「今すぐ何が何でも決める」ではなく、活動しながら情報を集め、経験を積み重ねながら「決める準備」をしていけばいいと思う。
3 価値観を認め合うこと
価値観については、自分が思う正義はあくまで自分の判断基準。そうした、その人には築いてきた固有の判断基準があることをいろんな経験を経て知ることで、コミュニケーションがスムーズにとれるようになったと思うね。
 あと振り返ってみると、挫折や思い通りにならない体験を経て、いい具合に肩の力が抜け、そんなに自分を過大評価しなくなった。すると、心に余裕ができ、色々なことを受け止められるようになってきたんだ。

揺るぎない芯

福井:最後に自分にとっての、ぶれない軸のようなものはありますか?
南澤:自分にとっての揺るぎない芯は、「無事でいれること」。何事もなく四季を迎え、何事もなく明日を迎えられること。脈々と続いていくことが尊いという考え方に出逢い、この考え方がしっくりきたので、今実践中。それでも、欲や俗がなくなったわけではなく、いっぱい存在するけど、今は「無事でいれること」の素晴らしさを感じながら生活を送っているかな。
福井:かつては、出世に意欲を燃やし、ペントハウスに住み、ワインを飲むことを目標にしてきた時代もあったと、南澤さんの古くからの親友である、ひろしまジン大学の平尾順平さんから聞きましたが(笑) でも実は、自分に真摯に向き合う中で、今の考えや生活にたどり着いたんですね。だから、過小評価も過大評価もせず、また自分や他人の枠にとらわれず自然体で心穏やかでいられる。南澤さんから生まれる優しさの種が、今日お話をうかがって少し分かったような気がしました。長時間、お話いただき、ありがとうございました。

編集後記:「南澤さんの言葉は、まるで『おかゆ』のよう。心身に優しく沁みわたり、前へ進むための力になる。」

 普段は気が付かないけど、誰の周りにも南澤さんのような「おかゆ的存在」がいると思います。今回、「いつか誰かの『おかゆ』になりたい」という、自分の目指したい姿を発見することができました。 また、「今ここにこうやって存在していること自体が奇跡」(南澤さん)といった、当たり前だと思っていることが実はとても大切なことだと気付けると、見える世界が変わっていく。そうした南澤さんの境地に私も少しでも近づきたいと、さらに南澤さんへの憧れを強くした時間でもありました。

自分と真摯に向き合う中で育まれた「揺るぎない芯」
  • 自分と真摯に向き合う中で育まれた「揺るぎない芯」
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取材したのは

  • 福井 麻奈津(呉市地域おこし協力隊(倉橋地区))