ひろしゃま

つながりの世羅で、ほっこりカフェトーク

ひろしゃまvol.17

お話をしていただいたのは

ダリアが見頃を迎え、もうすぐ紅葉が始まりそうな10月中旬の某日。世羅町の今高野山(いまこうやさん)の参道沿いにある宿坊を改装した和カフェ「雪月風花 福智院」(以下、福智院さん)を訪れました。そこで、今年5月にオープンしたばかりの福智院・吉宗さんと、同じく世羅でこだわりの古民家カフェ「おへそカフェ」(以下、おへそさん)を営み8年目を迎える代田さん・フランクさんファミリーとご一緒しました。世羅でカフェを営む者同士のおしゃべりの場を設け、苦労話や楽しい話、舞台裏などを伺ったのです。

オープンまでの出逢い

つじ:僕は、人が気持ちよく集う場所やカフェに興味があり、今日はお話できるのをとても楽しみにしてきました。まずはカフェをオープンした経緯を教えてください。
吉宗:私はこの建物(福智院)がカビていくのが申し訳なくて。夫がリノベーションをして使う予定じゃったけど、忙しくてしばらく放置されとってから。使わないとすぐに湿気がこもるけえ、もう早よ使わにゃあ思うて。
フランク:日本に来てすることがなかったから、カフェでもやるか、と。
代田:なんとなくカフェならできるかなとイメージはあったけど、ちょうどタイミングよく古民家の空きが出てたから、といった感じでした。もともとイタリアのウーフ(※)という農業体験でフランクと出会って、二人でカフェができたらいいねって話をしていたんです。
つじ:気持ちと建物がちょうどのタイミングで出逢ったんですね。吉宗さん、福智院さんはなぜカフェだったんですか?
吉宗:今高野山のお寺さんに行った後に、ここらあたりでお茶を飲むところがないねえという話があって。それでやっぱりここはお茶を飲めるところにしようと。ちょうど世羅のお茶を扱う知人がいて、それならできるだけ世羅のものを提供しようと思って、こうなったんよ。

地産地消のこだわり

つじ:できるだけ地元のものを使うといえば、おへそさんも地産地消でオーガニックな食材にこだわっていますよね。そこはなぜでしょうか?
フランク:日本に来るまで料理をしたことはありませんでした。そういう状況でカフェをやろうと思って業務スーパーに行ったら、ラベルの原材料にいろいろと書いてあることに気がつきました。調べていくうちに、余計なものをいれない、シンプルなのがいいなと思ったのです。
代田:さらに、できるだけ地元のものやオーガニックなものを使って、手に入らないものはできるだけ近いところのものを使おうと考えたんです。そうしたらコストも高くなっちゃって(笑)。
吉宗:そういえば当時世羅としては攻めている、高めの価格設定じゃったね?
代田:そうだっけ?
フランク:高い高いって言うけど、真っ当な材料を使って、スタッフの人件費とかちゃんと考えると全然高くないよ。
吉宗:その価格帯でも来てくれるお客さんがおったいうわけじゃね。

世羅ならではの

つじ:こだわりが受け入れられたのですね。みなさんに伺いたいのですが、そんな世羅でカフェをやっていて良かったことは何ですか?
代田:シーズンによってお客さんがどれぐらい来るかが見込めるから、お迎えする準備がやりやすいことかな。
フランク:秋のフルーツ狩りに来るお客さんは年配のご夫婦が多く、夏のひまわりを見に来るのは若い子がグループとかでたくさん来たりとかするね。
吉宗:魚以外の食材がすべて地元で揃うことかな。それと、この間、夏場にお客さんが集中した時、かき氷の練乳があと5分で切れそうってなって(笑)。普段は近くの個人でやっとってお店に歩いて買いに行っとんじゃけど、その日は忙しくて初めて配達をお願いしたんよ。「すみません、あと5分でなくなりそうじゃけえ」って言ったら「ああいいよ、持ってくけえ」と快く受けてくれちゃった。あれは助かったし、ありがたいなあと思った。
つじ:反対に、世羅でやっていて大変なことってありますか?
フランク:冬。お客さんがいません。
代田:そうね。冬は一ヶ月ぐらい休みを取ってフランクの実家のスペインへ帰っています。本当に人が来なくて(笑)。
吉宗:だからウチも冬が怖い(笑)。オープンして初めての冬が来るけえどうなるんかと今からヒヤヒヤ。
つじ:最後に。10年後、100年後、お店はどうなっていて欲しいですか?
フランク:もともとスローなカフェをやりたかったんだけど、お客さんのリクエストに合わせてメニューがどんどん増えちゃって。だから、メニューが少ないスローなカフェがいいな。でも100年後はもう僕はいません(笑)。
代田:とにかく細くてもいいから続けていこうって思ってたから、続けていきたい。そして、私たちの周りでちっちゃくてもいいからビジネスが増えていって欲しいし、100年後も集落が残っていて欲しいな。
吉宗:このまま、まちと一緒に続いていって欲しいですね。

「世羅のもの」「地産地消」「オーガニック」などスローなキーワードでつながる二つのほっこりカフェ。 地元の埋もれた宿坊を改装してカフェをオープンした吉宗さん。 海外から地元に帰ってカフェをオープンした代田夫妻。 どちらもやってみようと動き始めて、お客さんの要望に応えつつ 徐々に活動が拡がっているようです。地元を愛し、 地元の人たちとのつながりも大切にしている二つのカフェは、 世羅にとって無くてはならない場所になりつつあるのでしょう。

※WWOOF。お金を介さず、有機農家などホストのお手伝いをするシステム。

編集後記

実は同郷(三重県)の人である吉宗さんとは「ひろしま『ひと・夢』未来塾」で出会い、その多くの活動に驚き、さらにカフェを開いたということで興味津々でした。また同じ世羅で、より興味深いウーフや伝統製法、原材料にもこだわるおへそさんをご紹介いただき、お話を伺えてとても感謝しています。 その中で、どちらとも、巡って来たタイミングと想いに合わせて無理なく行動されているという印象を受けました。はじめの一歩を重く考えずに、ゆるっとやってみる。そこからなんですね。 福智院さんも、きっとおへそカフェさんも、僕が広島市で手がける「ヨガ&哲学カフェ」、「美味しい楽しいの輪」活動の場所にもピッタリです。さらに今考えている新しい取り組み「考える力を育む寺子屋教室」にも!

つながりの世羅で、ほっこりカフェトーク
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取材したのは

  • つじ りゆういち(つながり研究家)