ひろしゃま

里山の暮らしを繋いでいくこと、未来をつくること

ひろしゃまvol.18

里山の暮らしを繋いでいくこと、未来をつくること

お話をしていただいたのは

 

 三次市上田町「ほしはら山のがっこう」は、三次市の中心街から車で南東におよそ30分、世羅町との境に位置する自然体験や地域交流を目的とした施設です。
 今回、この場所で子供たちが自然の中で自由に遊びながら学べる「森のようちえん+焚き火カフェ」や、田舎の暮らしを体験する「おいしい楽校」などの取組をされている浦田愛さん(以降、愛さん)を訪ね、現在の活動を始められたキッカケや子ども達への想いなど、たっぷりとお話を伺いました。

今回の取材者

 はじめまして。尾道市在住の高野哲成と申します。ひろしま県営SNS「日刊わしら」の編集部員として、「尾道自由大学」の事務局兼キュレーターとして、また、子育て支援NPO「むかいしまseeds」の理事として、主に県東部を中心に活動しています。  いま、尾道にも自然の中で子ども達が全力で遊び、そこにあるものを利用して何かを作り出していくという経験ができる場をつくりたいと思っていて、その分野の大先輩である愛さんにお話を伺うべく、「ほしはら山のがっこう」にお邪魔しました。

浦田愛さんってどんな方?

 大学で教育について学び、学生時代から自然体験や野外活動などの分野で活動してこられた愛さんは、いわばアウトドアや自然体験・学習のプロであり、「ほしはら山のがっこう」の副理事長兼ふるさと自然体験塾長として、日々、子ども達や地域の方々と向き合っています。  福岡出身で岡山の大学を卒業後、観光農園のスタッフとして移り住んできたそうですが、最初は畑に入ったことが無くて、大根も見つけられなかったという意外なエピソードも(笑)。そして、その時から、「暮らしを繋いでいくことをしたい」という今の活動に繋がる想いを持つようになったそうです。

「ほしはら山のがっこう」とは?

 「ほしはら山のがっこう」は子ども達が遊び・学ぶ場であると同時に、宿泊施設や地域の公民館的な利用もされていて、まさに地域のシンボルのような存在です。  それもそのはず。この建物の前身である旧上田小学校が廃校になることが決まった時、地元の人たちと一緒に「校舎をどうするべきか」というところから一つ一つ話し合いを重ねたのだそうです。「(維持管理のコストの面から)後世のためにも解体した方が良い」という意見や、「地域のことを伝えていくシンボルとして残していきたい」という一人ひとりの色々な意見を尊重しながら、じっくりと話し合いを続けた結果、地域で運営していくことに決まりました。こうして地元の人たちが知恵を出し合い、力を合わせて今日まで守ってこられた「ほしはら山のがっこう」。改めて、自分が訪れた場所が特別な場所だということがわかりました。

地元の人達から学ぶ

 愛さんからお話を伺う中で一番印象に残ったのは、地元のおじいちゃん、おばあちゃん達から学んだことがご自身の活動や子ども達への思いの根底にあるということです。 「子どもは自然の一部」 「(自然も子どもも)思うようにはいかないもの」 「(子育ては、自然の流れに任せておけば)理想とはズレるけど、一番良いようになる」  その哲学的な言葉の数々に思わず唸りました。愛さんは、縁も所縁もなかったこの土地で、地元の人たちと関わりながら、暮らしの中に息づいてきた言葉や経験を大切に教わる中で自分の役割を見出していたのです。それはまさにその土地で紡がれてきた暮らしを受け継いでいくということだと感じました。

未来をつくること

 最後に愛さんは、ご自身の活動についてこう話されました。  「自然の中に子どもを連れて来ることは、未来をつくっていく上で欠かせないと思うんです。大人になれば誰もが投票権を持つ有権者として、また、お金を使う消費者として、日々判断が求められるようになりますし、子ども達の中から将来、政治家になって国の法律や予算などを決める子が出てくるかもしれません。その時に、日本の原風景である自然や農村の暮らしをちゃんと知っていてもらいたい。私たち一人一人、世の中が変わるのを待つのではなく、それぞれの立場で関わっていくことが出来ると思うんです。」  普段、忙しい暮らしの中で「自分でも世の中を変えられる」と感じることは少ないと思います。それでも、この話を聞いた時、「教育」という分野の可能性を改めて感じると共に、今を生きる自分にももっと出来ることがあるのではないか。そんな風に感じました。

編集後記

 最近、牛の牧場やチーズなど何かと三次の名前を聞くことが多かったのですが、今回、念願叶って初めて訪れることが出来ました。「ほしはら山のがっこう」のある上田町は尾道から世羅を通って車で1時間程ですが、豊かな山に囲まれた自然があり、普段暮らす尾道とはまた違う魅力を満喫することが出来ました。これから尾道を起点にもっと色々な地域に足を伸ばしたいですし、それぞれの地域のことをもっと知りたいと思いました。まずは次の夏には是非、ほしはら山のがっこうの夏の恒例イベント「7泊8日キャンプ」に子供達と一緒に参加してみたいです!  愛さん、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

里山の暮らしを繋いでいくこと、未来をつくること
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取材したのは

  • 高野哲成(日刊わしら、尾道自由大学など)