ひろしゃま

家具の販売から、ウェディングまで。 アンティーク家具が地域をおこす。

ひろしゃまvol.21

家具の販売から、ウェディングまで。 アンティーク家具が地域をおこす。

お話をしていただいたのは

田舎だからこそのこだわり

 東広島市豊栄町。国道375号線沿いに、フランスからやって来た黄色い看板が顔を覗かせる。木々に囲まれたゆったりとした庭と、ゆるやかな傾斜に沿って佇む白い建物がリカムアクロス。風格ある建物の扉を開けると、美しくディスプレイされた古き物の数々が、ドライフラワーに色を添えられ、私たちを出迎えてくれる。
 中岡さんは、29歳で起業。マンションの一室で小さなフォトフレームのネット販売を始めた。しばらくしてイスや机を扱いガレージ販売をし始めた頃、隣町の病院の院長さんから電話があった。
「もうやめるから家具を買い取ってくれんかと言われ駆けつけると、中の家具もさることながら、外観もすごくかっこいい。壊して更地にするつもりだと知り、建物ごと全部買わせてもらいました。直感で、これだ!と思いました。その建物が今のこのお店です。」
 直感だけでなく、こだわりもすごい。
「営業日が日・月曜日のみです。せっかく田舎の方まで来てもらうのだから、期待を裏切らないような空間づくりがしたい。なので、営業日以外は草刈りをしています。」
 空間にこだわり、場の価値を高めていくことで、わざわざ人が来てくれるようになるという。さらに、家具の送料が全国無料だというから驚きだ。
「中山間地域に店を構えていると、保管場所等にかかる固定費も少ないため、送料は自社負担できます。その分お客様と商品ができるだけ出会いやすくしたいです。」
 実は「リカムアクロス」という名前は、英語の「出会う(come across)」に「Re:」を加えたもので、再び出会うという意味。ある日突然思い付き、この名前にしたのだとか。

買い付けに行く外国での出会いも

 商品のアンティーク家具は、ヨーロッパに行って買い付けてくる。フランスでは街の教会で週末に開かれる蚤の市を回る。地元の人が家にあるものを売るため、珍しいものも多い。家具にまつわるストーリーも聞くことができる。
「フランスの空気は好きですね。大事なものは明確で、家族の時間。僕も、家族の時間をたくさん持ちたいという理由だけで起業しました。家族のことを大切に出来ないと、地域貢献は出来ない。」
 引っ越してきた当初は、豊栄のために、と意気込んだ。地域で開かれる数々の会合に出席したが、「お父さんは家にいない」と息子さんに指摘され方向転換。周りを気にしすぎず、自分のやりたいことを追求してきた結果、地域に還っていくものも出てきたように感じているのだそうだ。

モノから空間・関係づくりへ

 昨年オープンした「廣島書店」は、五右衛門風呂が残り、小さな中庭を眺める縁側もある古民家だ。前の持ち主がとても大切に手入れをしていたため、ほとんど改装する必要がなかった。
「女子会も開かれます。80歳くらいの4人ぐらいのグループで漬物を机に並べながら談笑されています。また、本は寄贈が多く『読まんけぇ置いとって』と言って本を並べ『わしがこの前置いた本じゃ』と知り合いを連れて来る方もおられます。」
 ただ、空間をつくるだけ。後は使う人の自由なアイデアで、自分の家のように過ごしてもらう。受け継いだからにはしっかり使ってもらいたいという中岡さんの想いがあふれる。
 次なる目標は、「廣島書店」やグランピングに来た人達が、地域の人と関われるようにすること。例えば、地域の企業や農家を訪問して夜の時間に飲み会をし、仲良くなれる交流も生み出したい。こうした関係人口づくりが大切だと言い、純粋に豊栄町の素晴らしい人達のことを知ってほしいと語気を強める。そして、地域の人達と互いに力を貸し借りしながら連携し、ビジネスとして軌道に乗せていきたいと意気込みを語る。

 中岡さんとリカムアクロスは、昔と今と未来、家族と地域と世界を繋ぎながら突き進む。そうした中でも、不思議と静かで安心でき、それでいて心を沸き立つものをくれる頼もしい存在だ。

編集後記

黒縁眼鏡のよく似合う中岡さんの笑顔は、私達を和ませると同時に、人生を楽しんでいるかい?と投げかける力強さがありました。すっかり中岡さんのファンです。 (ライター・福岡)
 
素敵な空間でとても充実した時間でした。自分のものさしを持ち、守るべき所は守り、変える所、攻める所はどんどん突き進む。中岡さんは、物腰やわらかな守破離の方でした。
(撮影・久我)

ひとこと活動紹介:株式会社リ・カムアクロス

 アンティーク家具の展示販売・インターネット販売・結婚式場等へのレンタルを行っています。また、アンティーク家具に囲まれた敷地内スペースのレンタルも行っており、ウェディングや撮影、イベント等自由に活用して頂けます。また、手ぶらで来ても楽しめる、豪華なキャンプ(グランピング)も提供しています。昨年には、徒歩圏内の古民家を『廣島書店』としてオープン。広島に関連する今昔の書籍を揃え、昼間は撮影、休憩等のためのレンタルスペースに、夜は一棟貸し切りの宿になります。来年からはウェディング相談カウンターを新設。アンティーク好きな人の叶えたい結婚式のかたちを提案・紹介致します。

HP http://re-come-across.com/
住所 広島県東広島市豊栄町清武369

家具の販売から、ウェディングまで。 アンティーク家具が地域をおこす。
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取材したのは

  • 岡本 泰志(ひろしゃま・へんしゅう部 部長)
  • 久我 遥(フリーデザイナー)
  • 福岡 奈緒(ライター)