ひろしゃま

「仕事がないから田舎には住めない!?」を払拭したい

ひろしゃまvol.22

「仕事がないから田舎には住めない!?」を払拭したい

お話をしていただいたのは

やりたいことをやらないと後悔する

 大学の社会福祉学科を卒業後、東京の専門学校に進学。「精神保健福祉士」の資格を取得し、「クッキングハウス」で約10年間勤務。心の病を抱えた方やそのご家族をサポートする福祉の事業所だ。今でも「働くならクッキングハウスみたいな場」と語るほど、大好きな職場だったが、長年、心の中にあった「いつか地元に帰りたい」「やりたいことをやらないと後悔する」という思いから、出身地である世羅町の隣町、上下町に地域おこし協力隊としてUターンした。そして、3年の任期を終えた現在は、まさに多様。mitsucoという屋号でのオリジナルの人形『みにみつこちゃん人形』の制作、岡山県井原市のヴィーガンカフェで勤務、上下の特産品であるお米を活用した米粉の焼き菓子の製造、知り合いや家族の為にお惣菜を調理、家政婦として家の様々なお困り事の解決。身体がいくつあっても足りないような多忙な日々を送る。

「小商い」という生き方/働き方

 これらの仕事は分野も場所も違っていて、一見バラバラにも見える。一体どの様に生まれたのか?そこには、必要とされるところに出かける、必要とする人との出会いを大切にしながら、繋がりを育んで来た、丁寧な歩みがあった。
 4年前、上下町で暮らし始めた有光さんの最初の活動は「自分に何が出来るか?」を探ることだった。地元の方の話を徹底的に聞くことを通して、徐々に知り合いも増え、ひな祭りやかかし祭りといった地元のお祭りやマルシェへの出店の声が掛かるようになる。今に続く、小商いで生計を立てる働き方の始まりだった。当時について、「純粋に楽しかった。学びも多かったし、雇用されて働く以外の働き方を初めて経験して、仕事というものは、自分から探っていく中で生まれるものだと実感した」と振り返る。また「仕事がないから田舎には住めないと言われることが多い中、小商いは、誰でも小さく商売を始めていける可能性がある」と。その言葉を体現するように、仕事以外にもオリジナルアクセサリー作りや仲間達とフリーペーパー『ぴろしま通信』の発行など、色々な取り組みを並行して続ける。
「負のエネルギーを、どうしたら優しい気持ちに変化させられるか考えている」
と語る有光さんは、たまったストレスも愚痴や批判ではなく、前向きに変化させ昇華させていく。その一つがフリーペーパー『ぴろしま通信』の発行。制作、編集、執筆までこなし、自分の直面した困難や悩みから地域の空き家事情や恋愛・結婚など幅広いテーマで、中山間地域に暮らす1人の女性の視点でユーモアたっぷりに描く。

『みにみつこちゃん人形』の誕生

 有光さんに転機が訪れる。それは東京の下北沢を歩いていた時のこと、突然、古着店の店員さんに声を掛けられる。その時に身に付けていたオリジナルのアクセサリーをお店で販売しないかと。
売上も順調に伸び、ファンも付いて来たある時、その店員さんから「mitsucoさんはもっと他のものも作れると思う」という意味深な言葉。また、奇しくも時を同じくして、小さな人形が誕生した。上下町の郷土人形である『上下人形』と世羅の友人が作っているオリジナルの縁起物『にゃこダルマ』からインスピレーションを得たもの。それが現在の『みにみつこちゃん人形』だ。季節によってレパートリーが変わり、定番も含めてひとつひとつ手描き。同じものは二度と現れないという全て一点物の人形だ。
 郷土人形が大好きという有光さん。上下人形の原型である『土人形』の魅力を伺う。土人形は元々、田んぼの泥で人形をつくり、子どもの生まれた家にプレゼントされていたのが始まりだそう。短命も多かった時代に、その子が無事に育ち、ひな祭りや端午の節句を迎えられる喜びを表す、命の尊さを深く感じられる風習があるという。有光さんの郷土人形愛が詰まった人形達は、コレクターがいるというのも納得の可愛さだ。

これからの2つの夢

「地方で全然知られていない精神保健福祉士のことを知って貰いたい。」
「いつかクッキングハウスのような心の病を抱えた方やそのご家族の居場所、拠点を広島につくりたい。」
「食」のお仕事や、これまでの経験を活かし悩まれている方の相談に乗る(代金の代わりに物々交換と言うスタイル)。有料/無料の色々な仕事は全てその夢の実現に必要なプロセスなのかもしれない。現在、今後の活動の拠点となる物件を探している真っ最中だ。夢のお手伝いになる情報をお持ちの方は、有光さんもしくは、ひろしゃま・へんしゅう部まで寄せてほしい。それがまた小商いの1つになるかもしれない。

編集後記

 オススメの上下町の情報を聞いたところ、「面白い人たちがいることですね」と、行きつけのBARやお好み焼き店などの情報を教えて下さいました。いつか、有光さんと一緒に上下のまちを巡ってみたいですね!
(高野・ライター/撮影)

ひとこと活動紹介

有光梨紗さん(個人事業主/小商い)
 「精神保健福祉士のことを知って貰いたい」「地域に居場所、拠点をつくりたい」という夢に向かって、現在、本文で紹介した多様な仕事で生計を立てている有光さん。話の中で強く感じたのが「与えられた情報に従うのではなく、自分なりにおもしろさを見つけ地域を楽しむのが上手」ということ。面白そうなものをキャッチする独自のアンテナと持ち前の行動力で、色々なヒト・モノ・コトと出会い、自分の感覚と上手く擦り合わせながら、独自の仕事をつくっています。ビビッと来た方は是非、有光さんに会いに出かけてみて下さい! そして、『みにみつこちゃん人形』が気になる方、を実際に手にとって見てみたい方は、Instagramのアカウント(@mitsurisa79)をチェックです!

「仕事がないから田舎には住めない!?」を払拭したい
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取材したのは

  • 高野哲成(日刊わしら、尾道自由大学など)