ひろしゃま

島のエッセンスを伝えたい。オリーブと感性で島と人がつながる瞬間を演出

ひろしゃまvol.24

島のエッセンスを伝えたい。オリーブと感性で島と人がつながる瞬間を演出

お話をしていただいたのは

 

 「目立ちたがりだけど、出たがりじゃないんですよね」
 自分が直接前に出るよりも、自分のつくったもので間接的に表現する、ものづくりが性に合っている、と自己分析する長澤さんは、倉橋島・江田島を拠点に、活動している。
 島のハーブとオリーブを中心とした作物の栽培、加工、販売の6次産業化を行う。時に独りで、時に地域の方と一緒に、型に囚われない豊かで柔軟なアイデアとインスピレーションで、心地よく人を巻き込み、地元の人に愛されながら次々とイメージを実現していく。「何をやってもためになるはず」と自由であることを最大限生かしながら、人を大切にしながら、気負いなく軽やかに動く長澤さん。その根底にある想いについて聞きました。

異なるものを組み合わせて、新しい価値を作り出す

 長澤さんは、自分のインスピレーションを信じて行動していく中で、次のステップを描き、次々とイメージを形にしていく。そのプロセスの中で大切にしていることは何かを尋ねると、意外な言葉が返ってきた。
 「女性って、美味しいものを見たときや感動したとき、『すてき!』と手を前に組みますよね。その瞬間に答えがあると思うんです。女性がときめくポイントは何かなと考えながら、その瞬間を作り出せるような商品の開発やサービスの提供をする、というのは大切に思っています」
 この、ときめく瞬間からの逆算の発想があるので、ものづくりに留まらず、デザインや音楽などの空間の演出にもこだわる。もうひとつ、長澤さんの特徴は、異なるものと異なるものを結びつけ、新しい価値を生み出していくことだ。
 AとBというものが別々にあって、でもそれを結びつけるとうまくいくんじゃないか、面白くなるんじゃないか。そう考えてやってみるんです。例えば、ミニトマトをつくっていたおじいちゃんと仲良くなっていたので、江田島のオリーブオイルとバジルを組み合わせてブルスケッタをつくってみたんです。すると予想通り美味しいんです。地元の食材を組み合わせて料理を作るとこうなるんだ、と気づきました。それが美味しいと言われるとなお嬉しいですよね」

口にして驚いたオリーブオイルの美味しさ

 江田島をいつも見ながら対岸の呉市で育った長澤さんは、18歳で高校を卒業し、音楽の道を目指し東京へ。やがてブライダルの音響を生業とし、アーバンライフを楽しんでいた。そんな時帰省中にたまたま口にした江田島のオリーブオイルの美味しさに感動。「青々しい新鮮な香りと風味が驚くほど美味しかった」
 今後の生き方として、瀬戸内海を見ながらオリーブを栽培するのは良いかもしれない、と思い広島に戻ってきた。はじめに、週末は経験のあるブライダルの音響の仕事を行い、平日は農業をしようと生業のプランを組み立てた。
 しかし、農家に弟子入りをしようと思って、島内を車で一周してみたが、それらしき農園は見つからなかった。「これ は今からの産地だな、甘くないぞ」と覚悟したそうだ。
 しかし、同時に自分の目指すべき方向も見えてきた。
「せっかく地元に帰ってきたので、オリーブのほかにも、土から生まれるもので生計を立てる。それが、この島の良さを引き出す事業として、また、自分がお金を稼ぐ手段としていいんじゃないかと思いました」
 そして、オリーブだけでなく、島で育てる花や果実、葉をもとに、加工・販売までを行う6次産業化を進めていく、イソラ・エッセンシャルズの活動がスタートした。

そのとき、手に入る素材を徹底的に使う

 よく料理をツールとする長澤さんは、はじめはレシピを考えて、それにあわせて野菜を買いに出かけていたそうだ。島の野菜では全部が揃わないこともあり、じゃあ今あるこのカリフラワーとキャベツだけでスープを作ってみよう、と作ってみたところ、とても美味しいと評判になった。
 そこから「徹底的に今あるものを使おう」と考えるようになり、生産者さんたちとどんどん仲良くなっていった。
 ハーブとオリーブの栽培のほか、島の内外で開催される大小のイベントへの出店や、ケータリングなど活動は多岐に渡る。今後の展望を尋ねると、なんともわくわくする返事が返ってきた。
 「オリーブの生産量が増えていくと、品種で遊べるようになってくるんです。品種の違いによって、味に個性があるので、ワインと同じような楽しみ方ができるんです。オリーブの品種で牡蠣に合うものなども出てくるはず。最終的にはボジョレー解禁じゃないですけど、江田島のパネルの前に芸能人が立って、オリーブオイル解禁のパーティができるんじゃないかな。VIP呼んで、スーツ着て、音楽かけて、地酒を飲んで。楽しそうですよね(笑)」
 オリーブの収穫についても、自分たちだけで行うのではなく、オリーブ収穫隊というかたちで島の外から人に来てもらい、オリーブオイルを使った料理を食べてもらう代わりに収穫してもらうことなども考えている。
 地域の人と人とのつながりを大切に、そこに料理とオリジナルのアイデアを組み合わせて、たくさんのときめきや笑顔を生み出していく。
 長澤さんの活動は、始まったばかりだ。

ひとこと活動紹介:イソラ・エッセンシャルズ

 広島県の倉橋島、江田島でハーブとオリーブの栽培を行っています。島で育てる花や果実、葉をもとに加工・販売までを行う6次産業化と、地域産品と交わりながら成長する事業を目指しています。紹介オンリーでのケータリングのほか、島の内外で行われるイベントでの料理提供、島で採れる柑橘類やハーブを組み合わせたジャムなどの商品販売も行っています。現在は、毎月第2土曜日に開催される上八丁堀のグランマルシェや江田島市内の大小様々なイベントに出店。今後は島外のイベントにも積極的に参加していきます。

編集後記

どこまでも自由に軽やかに、等身大で無理なく楽しみながら活動されている姿が印象的でした。地域の人に愛されながら、食材と食材を組み合わせ、人と人、人と地域をつなぐ若きホープといった方でした! (清水・ライター)

川に水が流れるようにスムーズに、自身の活動について語る長澤さんの表情は、とてもナチュラルでバラエティー豊か。そんな雰囲気が伝わるカットを多数お届けできればと、シャッターを切らせていただきました。 (西川・撮影)

島のエッセンスを伝えたい。オリーブと感性で島と人がつながる瞬間を演出
  • 島のエッセンスを伝えたい。オリーブと感性で島と人がつながる瞬間を演出
  • 島のエッセンスを伝えたい。オリーブと感性で島と人がつながる瞬間を演出
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取材したのは

  • 岡本 泰志(ひろしゃま・へんしゅう部 部長)
  • 清水 麻耶(ライター)
  • 西川 恭子(フリーライター)